はじめに
エアコンには家庭用と業務用の2つのタイプがあり、それぞれ特性や設置工事の内容が大きく異なります。適切なエアコンの選択と正しい工事により、快適で省エネな空調環境を実現できます。

家庭用と業務用の基本的な違い
主要仕様比較
家庭用エアコン
- 電源:単相100V・200V
- 冷房能力:2.2kW~8.0kW程度
- 設置場所:住宅・小規模店舗
- 設置方式:壁掛け型・床置き型・天井埋込型
業務用エアコン
- 電源:三相200V(一部単相200V)
- 冷房能力:10kW~200kW以上
- 設置場所:オフィス・工場・大型施設
- 設置方式:天井カセット型・天井吊型・床置き型・ダクト接続型
家庭用エアコンの特徴
基本仕様
家庭用エアコンは一般住宅での使用を前提に設計されています。
- 電源:単相100V・200V
- 冷房能力:2.2kW~8.0kW程度
- 設置方式:壁掛け型・床置き型・天井埋込型
- 操作方式:リモコン操作が基本
設計思想
- 快適性重視:人が過ごしやすい温度・湿度制御
- 省エネ性能:家庭の電気料金削減を考慮
- 静音性:住宅環境での騒音配慮
- コンパクト設計:住宅の限られたスペースに配慮
- デザイン性:室内インテリアとの調和
業務用エアコンの特徴
基本仕様
業務用エアコンは商業施設・オフィス・工場での使用を前提に設計されています。
- 電源:三相200V(一部単相200V)
- 冷房能力:10kW~200kW以上
- 設置方式:天井カセット型・天井吊型・床置き型・ダクト接続型
- 操作方式:有線リモコン・中央制御システム
設計思想
- 大空間対応:広いフロアや高天井への対応
- 高い耐久性:長時間連続運転への対応
- 運転効率:ランニングコストの最適化
- 集中管理:複数台の統合制御システム
- メンテナンス性:業務での継続使用に対応
主な違いのポイント
- 能力:業務用は家庭用の3~10倍以上の能力
- 電源:業務用は三相200Vが主流で工事が複雑
- 耐久性:業務用は24時間連続運転に対応
- 制御:業務用は複数台の統合制御が可能
- 価格:業務用は機器・工事費ともに高額
家庭用エアコンの工事内容
標準工事の流れ
家庭用エアコン工事の基本手順
- 事前調査・準備:設置場所の確認、配管ルートの決定、電源の確認
- 室内機取付:壁面への取付板設置、室内機の固定
- 配管穴あけ:壁への貫通穴あけ(φ65mm程度)
- 室外機設置:室外機の設置、架台・ブロックでの固定
- 配管・配線接続:冷媒配管・電線・ドレンホースの接続
- 試運転・調整:真空引き、冷媒充填、動作確認
電気工事の内容
エアコン設置に必要な電気工事です。
- 専用回路設置:エアコン専用の電気回路新設
- 分電盤工事:専用ブレーカーの増設
- 配線工事:分電盤からコンセントまでの配線
- コンセント設置:エアコン専用コンセントの設置
- 電圧変更工事:100Vから200Vへの変更(必要に応じて)
追加工事が必要なケース
標準工事に含まれない追加工事です。
- 配管延長工事:4m超の配管が必要な場合
- 隠蔽配管工事:配管を壁内に隠す工事
- 室外機特殊設置:屋根置き・壁面設置
- 化粧カバー設置:配管を覆うカバーの設置
- ドレン排水工事:排水設備への接続
💡 家庭用エアコン工事のポイント 家庭用エアコンは標準工事で設置できる場合が多いですが、設置場所や建物構造により追加工事が必要な場合があります。事前の現地調査により正確な工事内容と費用をご提案いたします。
業務用エアコンの工事内容
設計・計画段階
業務用エアコンは詳細な設計と計画が必要です。
- 負荷計算:空調負荷の詳細計算・シミュレーション
- 機器選定:最適な機種・能力・台数の選定
- 配置計画:室内機・室外機の最適配置設計
- 制御システム設計:集中制御システムの構築
- 施工計画:工程・安全・品質管理計画
電気工事(動力工事)
業務用エアコンは三相200V電源が必要で、複雑な電気工事が伴います。
業務用エアコンの電気工事
- 動力回路設置:三相200V専用回路の新設・幹線工事
- 制御回路工事:操作・制御用の単相回路設置
- 制御盤設置:操作・監視用制御盤の設置・配線
- 安全装置設置:漏電遮断器・過負荷保護装置の設置
冷媒配管工事(大型)
業務用は配管径が大きく、施工技術が重要になります。
- 大口径配管施工:φ15mm~φ100mm以上の配管加工・接続
- 配管支持工事:重量のある配管の適切な支持・固定
- 断熱・保温工事:結露防止の厚い保温材施工
- ドレン配管工事:大容量排水配管の設置
- 冷媒分岐工事:マルチ型での分岐配管
天井・ダクト工事
業務用エアコンは天井設置が一般的で、建築工事も伴います。
- 天井開口工事:室内機設置用の天井開口・補強
- 吊り金具設置:室内機を支える吊り金具・補強工事
- ダクト接続工事:給気・還気ダクトの設計・施工
- 天井仕上工事:開口部周辺の内装仕上げ
- 点検口設置:メンテナンス用点検口の設置
⚠️ 業務用エアコン工事の注意点 業務用エアコンの工事は高度な技術と豊富な経験が必要です。特に冷媒配管工事や電気工事は、不適切な施工により重大な事故や機器故障の原因となります。必ず有資格者による施工を受けることが重要です。
工事に必要な電気工事の詳細
電圧・容量の確認と対応
電源仕様の比較
家庭用エアコン
- 小型:100V 15A
- 中型:200V 15A
- 大型:200V 20A
業務用エアコン
- 小型:三相200V 10A
- 中型:三相200V 20A
- 大型:三相200V 50A以上
100Vから200Vへの電圧変更工事
大型家庭用エアコンでよく必要となる工事です。
- 単相3線式確認:分電盤の配線方式確認
- 200Vブレーカー設置:2P専用ブレーカーの増設
- 200V配線工事:2本線での配線工事
- 200Vコンセント設置:専用形状コンセントの設置
- 漏電遮断器設置:安全のための漏電保護
三相200V工事(業務用)
業務用エアコンに必要な動力工事です。
- 三相配線工事:R-S-T-Nの4線式配線
- 動力用ブレーカー:三相専用ブレーカーの設置
- 電磁接触器:遠隔操作用接触器の設置
- 制御回路:操作回路の配線工事
特殊な工事ケース
隠蔽配管工事
配管を壁内や天井内に隠す美観重視の工事です。
- 先行配管:建築時の事前配管工事
- 壁内配管:壁を開口しての配管隠蔽
- 天井内配管:天井点検口からの配管工事
- 復旧工事:壁・天井の復旧・仕上げ工事
- 断熱対策:隠蔽部での結露防止対策
特殊環境での設置工事
通常とは異なる環境での設置工事です。
- 塩害地域対応:耐塩害仕様機器の選定と防錆工事
- 寒冷地対応:凍結防止対策と寒冷地仕様機器
- 高層階設置:強風対策と室外機固定強化
- 防火区画対応:防火区画貫通部の適切な処理
- 振動対策:防振装置の設置
メンテナンス・アフターサービス
定期メンテナンス
メンテナンス比較
家庭用メンテナンス
- フィルター清掃(月1回)
- 室外機清掃(年1回)
- 専門点検(2-3年に1回)
業務用メンテナンス
- フィルター清掃(月2回)
- 熱交換器清掃(年2回)
- 専門点検(年1-2回)
故障対応とサービス
万一の故障時の迅速な対応体制です。
- 24時間受付:緊急時の連絡受付体制
- 迅速な診断:原因の早期特定と適切な修理
- 純正部品供給:メーカー純正部品による確実な修理
- 工事・機器保証:充実した保証による安心サービス
- 予防保全提案:故障予防のための改善提案
まとめ
家庭用と業務用エアコンは、用途・能力・電源・工事内容が大きく異なります。どちらのタイプでも、適切な機種選定と正確な工事により、快適で省エネな空調環境を実現できます。
エアコンの新設・交換をご検討の際は、現地調査から設計・施工・アフターサービスまで一貫して対応できる経験豊富な専門業者にご相談いただき、最適なシステムをご提案させていただきます。
エアコン工事のご相談は有限会社東伸電工まで 家庭用から業務用まで、あらゆるエアコン工事に対応いたします



